ビジネスプロフィール
金谷経営研究所(Kanaya Management Laboratory)代表 金谷奨武
■東京農工大学博士後期課程(応用化学専攻)を単位取得後満期退学し、中堅化学メーカーである日興リカ株式会社(以下、日興リカ)に入社、技術部門に勤務する。技術部門では、多数のテーマに取り組み、現在の主力製品の立上げ、製造プロセスの見直しによる大幅なコストダウンの実現、大学との共同研究などを経験する。
■入社当時の日興リカは、特殊な技術(水素化技術、触媒技術、粉体製造技術など)を有しているにも関わらず、受託・委託製造が主で自社製品の開発にはそれほど力を入れていなかった。新しいものをつくりたい、イノベーションを起こしたい、との強い思いから、自社技術を自社製品開発・イノベーションにつなげるため、日本化学会の年会に参加、そこで得た情報と自社技術を融合させた自社製品開発のアイデアをレポートにまとめたところ、それが当時の社長の目にとまり新規事業開発部門(技術担当)に異動になる。しかしながら、生産技術的課題と新規自社製品開発の両立は難しいため、新たな新規事業開発・イノベーションの芽を自ら探すための情報収集に特化すべく、本社勤務を希望し、異動となる。
■大きな方向性を定め、既存・新規・潜在顧客訪問を精力的に展開し、多種多様の情報を集めるうちに、ある化合物群の潜在需要の発掘に成功し、大手化学品メーカーを主なターゲットに事業化プロジェクトを推進した。また、保有設備の新たな用途開拓を目的に、大学を中心に情報収集するなかで、大学発ベンチャーとの事業化共同研究を開始、プロジェクトとして推進した。これらの成果は、日興リカでは長年例を見ないものであり、社員表彰を受けることとなった。その他、特許・学術文献・展示会などから得た情報をもとに、約60件の新規製品開発を企画提案した。
■しかしながら、新規事業開発はなかなか進まないという現実に突き当たる。どうすれば新規事業開発を推進させることができるのか、独学で経営についての学習を開始する。新規事業開発の傍ら、新規事業開発のために必要な経営企画室設置、営業組織再編、工場再構築計画など様々な改革案を提言した。経営企画室はその後設置された。これら提案行動の結果、中堅技術部員を集めた「開発企画会議」のリーダーを任される。開発とは何か、という根本的な問いから具体的な開発案件の提案まで議論し、新規設備の導入による大幅な工数削減を実現することもできた。
■その後、品質保証、購買部門にも在籍したが、新規事業開発・イノベーションへの情熱、新規事業開発・イノベーションを実現するための組織改革への情熱を燃やし続け、新規事業開発に特化したコンサルタントとして中小企業の支援にその情熱を傾けている。